【新電力ニュース】2017/04/06 東京電力 体制刷新によって経営改革と廃炉作業の両立に向けた出発
東京電力ホールディングスの社長に、広瀬直己社長(64)より一回り若い小早川智明取締役(53)が就く。日立製作所の改革の立役者、川村隆新会長(77)を後ろ盾に事業再編を加速する。広瀬氏は新設する副会長ポストで福島の復興に専念。役割分担を明確にした新体制で、2つの大きな懸案の打開を目指す。
経済産業省の有識者会議は昨年末、実質国有化している東電に人事刷新を求めた。東電の指名委員会は年明け以降、有識者会議の提言に沿い経営幹部との面談を重ね、25日までに小早川氏を社長候補に選んだ。持ち株会社傘下の主要3子会社のトップ刷新も決めた。燃料・火力事業の「東京電力フュエル&パワー」社長には同社の守谷誠二・常務取締役、送配電事業の「東京電力パワーグリッド」社長には金子禎則・同社取締役副社長が昇格。小早川氏の後任の「東京電力エナジーパートナー」社長には、川崎敏寛・テプコカスタマーサービス社長が就く。
川村会長・小早川社長のコンビは、電力市場の自由化という歴史的な環境変化に適応しながら、事業構造を抜本的に変えていくという極めて困難なハードルに直面する。
最大市場の首都圏を長く独占してきた東電には、変革を好まない社風が今も色濃く残る。数十年に及ぶ廃炉作業の継続も欠かせない。原発事故後、被災者支援などを一貫して担ってきた広瀬氏を福島専任として復興への関与を強め、政府の支援と理解を求める。体制刷新によって経営改革と廃炉作業の両立に向けた出発点には立つが、実現への道のりは遠く険しいものになる。